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HPVワクチンの積極的接種勧奨一時中止はどう理解したらいいか

2013年6月14日に厚生労働省は子宮頸がん予防のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的接種勧奨一時中止を発表しました。これは、接種者の数名にCRPS(複合性局所疼痛症候群:外傷、注射後に発現する四肢の疼痛状態)などの慢性疼痛が起こったのを受けてのことです。ただこの公費負担は継続も積極的接種勧奨は中止の意味が解らないということで現場は混乱しています。どのように理解したらいいのでしょうか?
これについて6月13日にWHOの諮問委員会であるGACVS(ワクチンの安全に関する諮問委員会)が声明を出しています。それによると現在までに約1億7500万接種分のワクチンが販売されており、米国、日本、オーストラリア及びグラクソ、メルクの2社のデータを検討した結果、2つのワクチンの安全性が再確認されたとなってます。ただし接種後の失神には気を付けること、接種後のCRPSは世界でもあるが、日本で特に多く報告されているので、適切に評価、検討するよう記載されています。(ただしマスコミで注目を集めた5例のほとんどが典型的なCRPS症例と一致しないとも述べています。)
また、米国CDC(疾病対策予防センター)では、ワクチン導入後、導入前と比べてワクチンに含まれるウイルス型の感染率が56%減少したため、接種率の向上が重要であるとコメントしています。
どちらにしてもワクチンの効果は見えにくいため、リスクとベネフィット(有効性)の比較がなかなか難しいのも事実です。判断の一つの材料である確率で考えると採血でCRPSが起こる確率は150万回に1例、今回ワクチン接種によるCRPSも英国小児のデータでは100万回に1例の確率です。(ただし成人ではもう少し多い?)
悪い見方をすると、国は「受けて健康被害が起こっても、受けずに子宮頸がんになっても、どちらも自己責任です。」と言っているとも受け取れます。しかし、いい見方をすると、「安全性を少しでも高める為にもう少し時間を下さい。」と言っているかもしれません。これを読まれて考えて、相談に来られて下さい。ただし電話での説明は細かいことが伝わらないので受け付けておりません。

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